点線日記

猫グッズなどについて書いています。

今村夏子「父と私の桜尾通り商店街」

短篇ベストコレクション: 現代の小説2017 (徳間文庫)に収録。

(内容をけっこう書いています)

 

今村作品をこれで3作ほど読んだけど、主人公の仕事内容的に、コンビニ人間みたいなイメージ。(工場、ホテル清掃、パン屋とコンビニはちょっと違うけど)

つまり職業選択の際に、工場作業が仕事になる人が主人公になる。

これはいよいよすごい小説が出てきたぞ、とコンビニ人間以上に衝撃を受けている。(他にも当然あって、私が読んでなさすぎなのだろうけど)

 

 

この「父と私の桜尾通り商店街」は3作の中で、前向きな明るい展望の持てる終わり方だ。

しかし、これは本当なんだろうか、妄想じゃないのかという疑いも持ってしまう。今村作品は、これここから非現実的じゃないか、妄想の反映じゃないか?と思ってしまうことが多い。

 

主人公はパン屋の娘で、商店街の中に住んでおり、「さくらお通信」という地域紙を熱心に読んでいる。主人公の家は子供の頃に村八分にされていて、その地域紙は配達されない。商店街コミュニティに憧れるあまり、ゴミとして捨ててあるのを毎回拾って読んでいる状態である。とても痛々しい。

 

商店街に新しい店ができて、その新店主がパン屋にやってくる。

店主を気に入った主人公は、作ったサンドイッチを新店主に差し上げようとするが、遠慮される。その渡す渡さないの攻防が何度かあるのだけど、途中で主人公の挙動が完全に引かれてて、その後で受け取る展開になるのがもう幻想だろうという気がする。